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特集

monaka ART INSTALLATION
「モリオカ・Mountain / Kite」

person長谷川誠さん(美術家/盛岡市)

2024.07.01

モナカのバスセンター側入口には大きな吹き抜けがあります。その場所に設置されるインスタレーションは、盛岡市在住の美術家・長谷川誠氏の手によるものです。6月29日から準備〜設置作業が行われますので、街角にアートがインストールされる様子を目撃してください。


「モリオカ・Mountain / Kite」

 幼少期からの記憶を重ねてきたこの地に新たな複合型商業施設の建設が始まると聞いたのはついこの間のように感じる。街の眺望は変化するのかもしれない。しかし私はそこに変わらないものを同時に感じる。それは地への思いや記憶、世代がかわっても継承されるものが風景を形づくるのではないかと。

 そんな“monaka”オープンに合わせて私がアートで関わらせて頂けることは、嬉しいことである。“monaka”に私自身のこの街への思いや、希望をほんの少しでもアートという形で重ねられたらと、いまからそわそわしている。

 作品制作にあたり少々リクエストはあったものの迷わず二つのバージョンを思い描いた。

 まずは街中に小さな山(本当は大きな山を見たいが)を出現させることを考えた。それは普段から頭の中にあることで、私にとって自然を想起させるものに起伏の連なりがある。そしてカモシカがそこに居ること。唐突なようだが盛岡では普通に街中にカモシカが現れてもあり得ない話ではない。少し高いところ(頂き)から私たちを見つめ、山に帰るカモシカを作ろうと。街中、それも建築空間の中に自然が実物大に現れることを私は見たいと常々思う(「モリオカ・Mountain」)。

 もう一つの作品は凧をモチーフにしたインスタレーションだ。インスタレーションとはその場に合わせて即時的に空間に働きかける企てとでも言おうか。一、二枚の図面と建築パースを見せて頂き高低差のある吊下げ作品が頭に浮かんだ。それと同時に重力をあまり感じさせない浮遊するもの、舞い上がるものがいいと。それは新たな誕生を表すようなものでないと。白い凧の連なりが静かに空に舞う(「モリオカ・Kite」)。

 作品とは時に主張するもの。しかしその主張が作品そのものにならないように考えたい。

 アートが、行きかう人々にほんの少しの日常の変化を促すものになればそれでいい。

2024.6.12 長谷川 誠

長谷川 誠
1958年秋田市生まれ、盛岡市在住
1982年より個展、グループ展にて作品発表

近年の主な個展/
2012 長谷川誠展 白い森の足跡 NEXT VIEW OF THE NATURE 岩手町立石神の丘美術館(岩手町)
2014 個展 「遠い種子」田中屋画廊(弘前)
     個展 「森のしずく」 晴山倉庫Fine Arts(花巻)
2015 個展「起伏ある風景へ」ギャラリー彩園子Ⅰ・Ⅱ(盛岡)
2017 長谷川誠 凍土 Cyg アートギャラリー(盛岡)
2018 個展「辿りつかない峰」晴山倉庫FineArts(花巻)
     個展「-道しるべ-」MORIOKA 第一画廊(盛岡)
2019 個展 CORERESPONDENCE/LANDSCAPE 019 – 起伏ある風景へ- 工房”親”(東京)
     個展 「辿りつかない峰-LINKS-」晴山倉庫FineArts(花巻)
2020 制作過程の公開 2DAYS 2020 晴山倉庫Fine Arts(花巻)
2021 長谷川誠展 二十億光年の扉 もりおか啄木・賢治青春館(盛岡)
     個展 長谷川誠 TSD40 改「霧の堆積」晴山倉庫FineArts(花巻)
2023 個展 「- 視程-」 インプレクサスアートギャラリー(盛岡)
     個展「帰路」 新作インスタレーション公開 晴山倉庫fine Arts(花巻)

近年の主なグループ展/
アート@つちざわ 「街かど美術館」(東和)、石神の丘美術館(岩手町)、岩手県立美術館(盛岡)、工房”親”(東京、恵比寿)など多数

優秀美術選奨受賞(平成元年度)
第9回(1995 年) ホルベインスカラシップ作家

作品収蔵:岩手県立美術館(盛岡)、萬鉄五郎記念美術館(花巻)、岩手町立石神の丘美術館(岩手町)、諄子美術館(北上)